メールに関する記事に引き続き、さらにメールマナーに関する私の考え方を述べてみたいと思います。
親しき仲にも礼儀あり、と申しますが、ビジネスでのメールのやり取りには時間や関係性、内容に応じた空気を読む力やテクニックが必要だと考えています。これにはある程度の経験値をともないますから、私も最初からきちんとできていたわけではありません。今もパーフェクトではないと思います。以前、東京のお仕事を依頼された際、中間で進行をしていた東京のディレクター(実は夫)に、私が直接お客様に送ったメールのことで、叱責を受けた経験があります。そのときは、一度お会いしたことのある方で、さらにその方がとてもくだけたメールを送られる方なので、安心してしまい、こちらもくだけた筆致でメールをしてしまったのです。「いくら相手がそうであっても、クライアントにあのメールはNGだよ」と。慌てて、お詫びのメールをその方にお送りして許していただけたようですが、大変恥ずかしい思いをしたものです。
初対面の場合、2度3度とミーティングを重ねた場合、さらに数度お仕事でご一緒させていただいて、気心が知れている場合、など、その関係性によって、メールの文章もおのずと変わってくるものです。
ただ、私はどんなに親しい関係を構築できているお客様とも、仕事上のメールのやり取りでは襟を正した文章、相手の時間を分けていただいて読んでいただく、という意識を失わないように心がけているつもりです。
自身が長々としたメールを忙しいときに読まされるのが苦手なこともあり、メールをお送りしたお客様のことを念頭におきつつ、なるべく簡潔な情報伝達をすることは言うまでもありませんが、大切なことはまだまだあります。
その一つが「署名」です。
ある時期、長い署名は通信コストがかかるため嫌われていました。メール一つ受信するにも、一呼吸置いていた時代のことです。しかし、だからと言って、署名のないメールもビジネス上非常に困ることです。
「アーキテクチャーさんに電話をかけたい・・・」→メールを探す→「あれ?署名がない」過去メールを探す・・・ということ、ありませんか?ほんの数秒の手間かもしれませんが、私はこれがとても「無駄な作業」だと思っているのです。
ビジネスメールでは、必ずある固定のプロジェクトの内容のやり取りが綿々と続く「スレッド状態」がつきものです。つまり、メールを読んだり読まれたりする間も、粛々とプロジェクトは進行しています。我々の仕事には必ず納期があります。お客様の予定に合わせたご希望のスケジュールを引き、そのタイムラインの上に常に我々は存在します。
連絡を取りたいと思ったときに瞬時に電話をかけられる、FAXを送ることができる状況を作ることも、大切なビジネスマナーの一つではないかと思うのです。メールには自動的に署名が挿入されるようにしておくことで、署名なしのメールを送ってしまうことは回避できます。
また、プロジェクトとその進行状況に即したメールタイトルを心がけることも同様の理由で大切です。お客様によってはメールのタイトルの一覧のみ表示されていて、そこからユーザーが開く動作を行うソフトを使用されていることもあります。ウイルスメールの横行する昨今はなおさらです。重要性を感じないタイトルでは、後回しになってしまう可能性があります。重要かつ緊急だったのに、すぐに開いてもらえないメールは困りますよね。まぁ、そもそも緊急なら電話でお知らせするのが礼儀なのですが(笑)。時間を指定したい場合など、緊急性にもいろいろありますから、その時々の場面に応じて最適な方法を取ればいいのではないでしょうか。
そんなカタイこと言わなくても、という向きもあるでしょうが、やわらか系の通信がしたいときには私は「追伸」もしくは「追記」として、メールの後半にまとめて短く入れるようにしています。私とて、仲の良いお客様との楽しいやり取りは大好きです。でも、それはあくまで、プロジェクトがきちんと進行されていることが前提。
楽しいことは後に回したとしてもその気持ちは伝わり、水くさいと思われることは決してないですから。
ビジネスマナーには深い人間的な思慮が不可欠なことは、しっかりと身につけられた方には言わずもがなですね。
最後に、私が一日一度必ず見に行くサイトをご紹介します。
NBonline http://business.nikkeibp.co.jp/
アクセスの際、日替わりで業界の重鎮の金言が大きな広告バナーの上に表示されます。先輩や師匠、上司のいない私にはこの金言を「上司からの言葉」ととらえ、感銘を受けたものについては覚えておくようにしています。よろしければぜひ。